腹腔鏡下前立腺全摘術の顛末 その2

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 前立腺全摘手術から2年半が経過し、新たな不安 (2019/3)
2018年11月頃、右の精巣(睾丸)にしこりが出来、あたかも睾丸が3個ある感じになった。11月の経過観察では触診のあと様子を見ましょうということになったが、
2019年2月の経過観察の頃には、しこりは大きくなり、念のためMRIをやることになった。
その結果、炎症や癌ではなく精巣上体(副睾丸)という器官に水状のものがたまっているとの所見だった。実際画像で袋状のところに水がたまっているような
形状が見て取れたので癌ではなさそうだ。そもそも手術で前立腺を摘出する際に精巣上体から前立腺に精子を送り出す管(精管)を切っているので、
行き先が詰まっているのと同様なので、何かのバランスが崩れると溜まってしまうとのこと。
 でこれを治す方法だが、針のようなものをさして水を抜くのは姑息な手段で、数ヶ月するとまた溜まるらしい。
根治するには精巣上体を手術で切除するしか無いとのこと。(入院3〜5日)現状、違和感とたまに弱い痛みがあるくらいなので、いったん保留。
精巣上体は既に役に立っていない状況とはいえ、切った影響でまた別の部分を切らねばならないのは、どんどん正常な状況から離れていく気がする。
(また今は右側だけだが、左側はそうならないのだろうか?)

 陰嚢水腫の手術を決断 (2019/8)
娘の結婚式、恒例の山行と息子の入籍に伴うお相手のご家族との顔合わせも無事終わり、仕事熱心な六右衛門は会社のお盆休みに合わせ入院した。
今回は3年前の手術の後遺症と思われる陰嚢水腫の根治手術だ。何故前の手術から2年以上経ってからこうなるのかわからないが・・・
精巣を包む膜は本来体液が滞留しないように液体を吸収し膜外に排出する機能があるが、何らかの原因で液体を排出する能力が落ちて体液が滞留する状態だそう。
た だしこれは通常の状態における陰嚢水腫で、六右衛門の場合は精巣から続く精巣上体の行き先を切ってしまっているので、膜外に排出されるべき体液が精巣上体 に溜まったものと思われる。手術は陰嚢(袋ですね)を3〜4cm切って、中の膜を一部剥離して窓を開け膜を反転させて固定する。要は精巣から膜を通さず体 液を陰嚢内に開放するとのこと。
そうしても行き場がないのでは?と思ったが、そういうものらしい。

8月13日入院して当日の14時40分から即手術、下半身麻酔で約2時間かかりました。今回 は麻酔の効きが悪く、途中で切ったところより少しお腹側が地味に痛く、麻酔薬を2度追加。そもそも麻酔の効きをチェックした時、右脚側が特に効いていな かったのに手術を始めたのが間違いと思う。手術終了後すぐ脚が動かせたくらい。

術後は患部が予定通り腫れた(浮腫)が、痛み止めを貰ってよく寝られた。が次の日37.7度の微熱、微妙にしんどいのでほぼ寝ていました。
座るときや動くと痛みがある。15日は台風10号が通過するということで退院は諦めていたが、昼間大阪では大したことはなく夕方から夜半にかけて雨が降っただけだった。
16日に熱が下がり痛みがましになったので退院した。夕食後、抗菌薬レボフロキサシン250mg2錠。

 今回も病院の飯はまずかった。
15日にチャンプルと炊き込みご飯とあったので、おっ今日は沖縄風かと思いきや、これはチャンプルじゃない。犬の餌だ。
チャンプルなのに炒めてもいないし豆腐、卵、野菜の煮付けみたい。味付がとにかく、どれも煮物風。味が単調で飽きる。食欲が湧こうはずがない。
フルーツのスイカは甘くなく、こんなスイカをどこで入手したのか多分売り物にならないものを無料で譲ってもらったに違いない!

 また今回も4人部屋だったが、右側は耳が少し遠い年配の男性、生検をしたというから前立腺癌の疑いか。アメリカではPSAマーカーで前立腺癌と診断され ても放置し、必要となったら処置をするのが主流だそうだ。つまり進行が遅い前立腺癌はもはや病気とは言えないくらいだが、日本では早期発見→手術したがる 病院が多い。(放置では金にならないもんね。PSAマーカーでどんどん患者を作り医療費を増やしているわけだ。)
六右衛門は、手術と放射線治療の選択で、放射線治療は身体の正常な部分にも放射線が当たるので副作用が出そうだし、完全に癌細胞が取りきれるのかと思って 手術に踏み切ったが、手術もあるべき内臓がなくなることによって当然周囲に影響が及んで副作用が出るし、何より体力的な負担が大きい。今回の水腫のような ことが起こるという説明もなかった。

 年配者を苦しめないで欲しい。考えるに陽 子線治療が成績も変わらないようだし(歴史が浅いので長期的な成績は不明)、原理的に副作用が少なそうだ。何より身体が楽。痛くも痒くもなく、1日30分 ×1カ月くらいで済む。最近保険適用になった。治療をするならこれだとよほど教えてあげたかったが医者でもない自分が余計なことを言ってもとやめておい た。同じ会社の人で陽子線治療をやっている人がいるが、ホルモン治療を併用するらしく、髭が伸びなかったり少しの運動で筋肉痛がひどいらしいが、治療はとにかく楽だそうだ。ただ当然だが劇的にPSAが下がるわけではないので、不安が残るようだ。

17日〜19日 患部から出血少々。(出血時に少々痛み)腫れなかなか引かず。
21日    傷口を止めていた医療用ボンドが剥がれたが、傷口から血と体液?の混じったものが下着に付着する。
28日    通院で経過観察。傷口は昨日あたりでほぼ収まったが、手術前に1週間程度で溜まっていた水がなくなると聞いていたが、
      もう2週間経って確かに腫れは小さくなったが、硬いしこりが明らかに残っている。何にも治ってないじゃん。
2ヶ月後   漸く傷口の痛みがなくなった。しかしその後も時々謎の痛みがある。
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5年後
 2021年8月に検診の予定だったが、2020年からの新型コロナウイルスの流行により延期。原因はわからないが幸いにも11月には全国の新規感染者数 が100人程度となって、受診することにした。超音波で腎臓、膀胱あたりを観察、尿の流量検査、膀胱の残尿の確認、PSAマーカーなど問題なし。尿もれは 単に座っている時に稀に少量あるが、尿もれパッドは不使用、水腫は再発していない。今後は1年に1回程度PSAマーカーの上昇がないか観察することになっ た。お世話になった関西電力病院(大阪市堂島)の関係各位に感謝したい。前立腺がんは予後の良い、進行の遅いがんであって、10年生存率は99%以上とい うことなので、以降は近くの泌尿器科でマーカーの検査を行うつもり。
失われた機能は戻らないのでこれを完治というのはいささか不満はあるが、現在の医療では致し方ないのかもしれない。
(たとえは悪いが自動車のターボが壊れた時、ターボを取り外しても車は走るがそれで修理完了と言われてもみたいな。)

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