【京都】千本通 縦走 ?
  鷹ヶ峰源光庵 (160m) 〜 御土居跡上品蓮台寺 千本閻魔堂 大極殿跡
壬生温泉 角屋 七条千本(31m)
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角屋の襖絵   


【 日 付 】  2018年8月19日(日)
【 山 域 】  京都
【メンバー】 六右衛門
【 天 候 】  晴れ

【 ルート 】   北大路駅 8:35→(市バス)→8:50 源光庵前 →8:55 源光庵 9:20→9:45 上品蓮台寺 → 9:50 千本閻魔堂 9:58→10:20 大極殿跡 → 10:50 壬生温泉
       11:15→11:30 角屋 11:50→11:55 七条千本(昼食)


  千本通は京都の市街を南北に走る通りで、平安京の昔には朱雀門と羅生門を結ぶ幅約84mの中央大通り、朱雀大路だったという。
しかし通りの西側、右京には湿地が多く次第に寂れて、羅生門には芥川の書くように盗賊が屯して鬼の棲家となり、ついには朱雀大路は
風葬の場と化して千本の卒塔婆が立ち並んだ。つまり千本通は千の魂のうごめく地であった訳だ。
 時代は下って現在の地図を見ると、京都市街からはるか南に下って淀の競馬場の近く、淀納所(のうそ)の六叉路に「千本通」の文字をみつけて、はて?ここが千本通と不思議に思ったが、それ以上追求することはなかった。
一方千本通の北の果ては、船岡山に真っ直ぐ向かっていた朱雀大路から山を避けるように離れて北山通を越え鷹ヶ峰の源光庵で終わっているようだった。今回はその源光庵を出発し、千本通を離れることなく淀を目指すという企てである。

 まずは鷹ヶ峰の源光庵にお参りする。ここで見たかったのは、悟りの窓(丸窓)と迷いの窓(角窓)に区切られる庭の樹々だ。
観光のポスターに使われているのは、特に悟りの窓(丸窓)から見る紅葉の鮮やかさだが、ぬめるような緑のペイントがこの窓の本領と思う。眺める人はしばし京都の暑さを忘れる。
欄間にはこの窓二つを再現した井堂雅夫氏の版画が掲げられていたが、その構図の位置に立つと本堂の柱が窓を区切る柱と重なり、
柱に邪魔されない窓だけを正面から眺めることができる。しかしその位置からだと実際には悟りの窓(丸窓)に白壁が見えるが、
写真のように斜めから見た緑のように版画では心の風景としてのイメージどおり窓が緑で満たされていた。


 

      
鷹ヶ峰源光庵の悟りの窓(丸窓)と迷いの窓(角窓)

 源光庵を辞して下ってゆくとすぐに豊臣秀吉の遺構「御土居跡」がある。京都を囲むように土手と堀を作って、洛中洛外の境界線を定めようとしたようだが、 勝手に区切ったのは民衆に不評で、一部には凸状の出っ張りもあり謎とされている。万里の長城のように敵の侵入を防ぐでもなく夏草の繁茂したただの土手で、 秀吉らしからぬスケールの小ささだ。

 さらに下ると上品(じょうぽん)蓮台寺に至る。ここは桜の名所だが、拝観を受け付けておらずひっそりしている。
古来京都では東山の鳥辺野とともに蓮台野は葬地として知られていて、蓮台寺はまさにその中心のように思える。

 さらに下ると、千本閻魔堂(引接寺)(いんじょうじ)がある。ここはまさに蓮台野の入口という位置にあり、閻魔法王の像を祀り、
引接(仏が衆生を浄土に往生させる、いわゆる引導を渡す)を促すところだ。「ゑんま様のお目こぼし」という名のかき餅が販売されていたが遺憾にも賞味は割愛した。

 さらに進むと「千本中立売」の交差点に至る。略して「千中(せんなか)」だ。(せんちゅう=千里中央ではありませんぞ。)
この付近は水上勉の「五番町夕霧楼」の舞台となった歓楽街、遊郭であったが、今はその名残りの映画館「千本日活」がひっそり残っている。(営業しているようには見えなかったが、どうなんだろう。)
また昔、「千中ミュージック」というストリップ劇場があり、過激なショーの評判が東京にまで轟いていたそうだが、昭和の終わりに焼失した。西陣の織屋の旦那衆の遊び場は、上七軒の花街やこの辺りだったろうが、面影は殆ど無い。

 さらにさらに進むと、通りを少し西側に入ったところに「大極殿阯」の石碑がある。
かつての遺構は何もないが、近くで地蔵盆が行われていて子どもたちが集まっていた。

 次に移転してしまった「出世稲荷神社」跡を過ぎるとJR山陰本線が寄り添ってきて二条駅に出る。昔の二条駅はお寺の本堂のような雰囲気だったが、今はス タジアム風になってしまった。このあたりから立命館大学の建つ三条通付近までは、昔の雰囲気と最も変わったところだろうか。
千本三条からはバス通りは斜めの後院通に移り、千本通は昔ながらの細い通りとなる。

 四条通を渡って、高辻通を過ぎると壬生温泉「はなの湯」がある。
歩いている途中で温泉というのは変だが、ひと風呂浴びてみた。中はスーパー銭湯風だが、露天風呂は温泉ぽい?
能書きによると滋賀県の守山の湯とのことだが、トラックで運んでいるということだろうか。温泉通?としてはあまりお薦めはしない。

 中央卸売市場を過ぎ、少し千本通から外れて花街島原の「角屋(すみや)」に寄り道してみる。(知らなかったが特別公開中だった。)




      
角屋の佇まい


 角屋は揚屋(あげや)と呼ばれる言わば料亭で、京都の町家風の造りだがさすがに鰻の寝床と言われる間口の狭い建物ではなく
広々とした座敷がいくつもあり、いかにも音曲を楽しみながら旨い酒が飲めそうな空間だ。庭に面して手水鉢があり、手洗いに続く廊下、灯籠、飛石の雰囲気は、父の実家(バブル期に地上げで無くなったが、典型的な京都の町家)を思い出させ懐かしさを感じた。




      
角屋の坪庭のある広間(網代の間)




      
網代の間から坪庭を見る


 廊下を渡って松のある庭に面した広い座敷(松の間)には、きらびやかで艶かしい襖絵がある。
新選組の芹沢鴨もここで酒を飲んでいたのだろうか。




      
角屋松の間の襖絵 桐に鳳凰の図 岸連山筆

 角屋を辞して再び千本通に戻ると、しばらくで七条通りに至るが、ここで千本通は梅小路公園とJRに遮られ途切れてしまう。
JRの南側から新たに千本通が始まるが、今日のところは前半のみということでここでお開きにし、七条千本の角にあるナポリ・ピザ屋さんで、マルゲリータとビールの昼食とした。





      
Pizza  Marcato さん
Margherita

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